新型コロナウイルスのワクチンに対するいろんな考え方

新型コロナウイルス

はじめに

自分が、コロナワクチンを打って、そして副反応に苦しんだ経験をしてから、
いろいろと、新型コロナウイルスについて、インターネットで調べることが増えた。
それまでは、同じ内容のニュースなどを見ても、「ふ~ん」「へー」程度だった。

最近はちょっと深掘りしてみたくなった。

しかし、インターネット上にはいろんな情報があって(ありすぎて)わけがわからなくなる。(Twitterは特に)

そんな中、こんな記事を見つけた。

ワクチンに不安のある人は、どうすればいいと思いますか?
回答 (16件中の1件目) — エジケンさん、ワクチンについて色々とお聞きしたいことがあったので、このような機会をいただけて助かります。よろしくお願いいたします。 Jさん、こちらこそ。よろしくお願いします。 — 早速ですが、周りの人たちがどんどんワクチンを接種していってるなかで、自分であれこれ調べれば調べるほど、本...

おもしろい!
このエジケンさんという方は、お医者さんなのかな?研究者なのかな?とにかく、詳しそうなのでモヤモヤしていた部分が少なからずスッキリした。

なので、備忘録として、ざっくりとまとめてみた。

Q:ワクチンを接種したら人間の遺伝子がウイルスの遺伝子で組み替えられるという噂があるが?

A:ウイルスの遺伝子を宿主の遺伝子に組み込むには、逆転写酵素やインテグラーゼと呼ばれる酵素が必要になるが、コロナウイルスはこれを持ってない。
なので、RNAをヒト宿主の遺伝子に組み込むことは原理的にできない。

《ちょっと安心した。》

Q:人工物のワクチンでも同じことが言えるか?

まず、コロナウイルスには、「コロナ」の名前のもとになった表面のギザギザ、スパイクたんぱく質(以下、Sタンパク)というのがあって、これが細胞の表面に結合することで、ウイルス本体のRNAが細胞内へ侵入する(感染する)。

mRNAワクチンは、ウイルスのもつRNAの全体ではなく、Sタンパク(ギザギザ)を作る部分のみを再現する。
そこから完全なウイルス自体を復元することはできない。
(あくまでSタンパクを一定量作ったら、役目を終えて分解される。)

《さらに安心した。》

Q:そのmRNAが分解されずに体内に残ってしまうということはないか?

A:歴史的にはむしろ逆で、細胞の(人間の)強力な自然免疫によってmRNAが一瞬で分解されてしまうことのほうが製薬開発の大きな課題だった。

mRNAという異物が侵入した細胞はキラーT細胞に殺される。
もし万が一、キラーT細胞に見逃されても、ワクチンを注射する筋肉細胞は長くても200日ぐらいの寿命なので、いずれ死滅する。


もし仮に、
mRNAが分解されずに体内に残るという問題があるとすれば、ワクチンよりもウイルス感染で取り込まれたRNA(本当のウイルスのRNA)のほうが重大問題になる。
(ウイルスは完全に排除されない限り、無限に増え続けることができる。)

ちなみに、
「細胞性免疫を誘導できるのが、mRNAワクチンの大きな強み。
例えばインフルエンザで使われている不活化ワクチンでは、抗体による液性免疫しか作り出せないので、重症化は防げても感染細胞を殺すような免疫は作れない。
細胞性免疫は、実際に感染したあとでイチから学習してもらう必要がある。
だからインフルエンザワクチンは発症予防効果が低い。」


《「さいぼーせーめんえき」ね。よくわかんないけど、コロナのワクチンはインフルエンザワクチンよりも強い(?)ということね。》

Q:なぜ肩に注射するのか?のどに感染するウイルスなのに、筋肉に注射するのは問題はないのか?

A:肩の三角筋のど真ん中に注射するのは、そこに厚い筋層があり、神経や血管が少ないから。
注射のせいで出血や神経損傷を起こしたくない。
大規模接種のときにモタモタせずに数秒でサッとまくって椅子に座ったまま注射できる肩の三角筋が選ばれている。


ちなみに、免疫系のはたらき自体は、体循環が十分なところであればどこの細胞でも大差はない。
(異物が見つかれば、体中どこへでも出かけていくのが免疫の仕事。)


《でも、痛いんでしょ?痛いんでしょ?》

Q:ワクチン接種による長期的な影響というのは全く心配ないか?

A:(エジケンさんの私見。ここは大事だと思ったからほぼ原文のまま)

今回のワクチンがすごいのは、ヒトの細胞にあるカロリーと資源を使ってSタンパクを作らせるところ。
このワクチンの正体は、自己増殖能力をなくしてSタンパクを作る能力だけを持つmRNAを油の膜で包んだ、プチ・ウイルス(と表現する)。

細胞をSタンパク製造工場として使えるので、免疫応答を増幅させるアルミニウム塩などの添加物、いわゆるアジュバントを使う必要がなくなった。
アジュバントが不要になったことで、ギラン・バレー症候群のような自己免疫系の副反応が起きるリスクがほぼなくなった

ワクチン固有のリスクは油の膜に使われるポリエチレングリコール(PEG)のアレルギー(アナフィラキシー)ぐらい。
(PEGは多くの薬や化粧品、食品添加物にも使われてる物質)

例えれば、ワクチンはプチ・ウイルス。ワクチンは1/100コロナとか1/1000コロナ。
なので、ワクチンで起きうる健康問題は、基本的にはウイルス感染でも起きるはず。
ワクチンの接種で重い副反応が出るならば、コロナに感染したらもっと重い症状が出ていたはずだ、という考え方。

《ほんとにリスクがPEGだけならいいんだけど・・・》

もちろん、科学の世界に絶対はありませんし、少なくとも免疫を刺激する物質を投与するわけですから、もう少し長い目でみて何か出てくる可能性がないとは言いません。

《え?!ここにきてそんなこという???なんかちょっと不安。》

でもそれは、すでに世界中で様々なメーカー・工場・ロットのワクチンが延べ40億回以上投与された実績を見ても、本物のコロナ感染に比べたら取るに足らないものだろうと考えてます。

コロナ感染で後遺症が残った人は数え切れないほどいます(注:16~30歳の軽症・自宅待機者のうち52%が6ヶ月後にも症状を抱えています)。
残りの生涯、呼吸機能が回復せずに普通に歩くことさえできなくなった人や、脳に障害が残った人も多いのに、遠い未来のことを心配している場合じゃないでしょう?ってところですね。

《なるほど。ちょっと納得》

Q:若い人はコロナに感染しても無症状のことも多いですが、ワクチンを接種した人はほとんどが発熱などで寝込んでいますよね。

A:実は、感染しても数日間という長い無症状の潜伏期間があるというのは新型コロナの悪質なところ。

通常、細胞がインフルエンザなどのウイルスに感染すると、まず最初に強い抗ウイルス作用を示すI型インターフェロン(IFN)を産生(自然免疫を活性化)。
そのインターフェロンによって、発熱や筋肉痛のような症状が出る。

ところが、新型コロナはこのインターフェロンを抑制する能力を持っているため、免疫に気づかれることなく無症状のまま増殖し、他人に感染させることができる。

《改めて理解すると恐ろしいなぁ。》

一方、ワクチンに使われているmRNAは、自然免疫への抵抗性を持たせることで、十分な数のSタンパクを産生させることに成功しているが、ウイルス本体ほど洗練された免疫回避の機構を持たないために、接種して数時間後ぐらいから免疫の応答が始まって、やがて排除されてしまいます。

《本物のウイルスより、ワクチンの方が、人間の免疫に弱いということ?
ワクチンの方が人間の免疫にやられやすい
→インターフェロンが産生されやすい
→発熱や筋肉痛が出やすい
ってことかな。》

Q:年齢はあまり関係ないのでしょうか?

A:免疫は、加齢によって衰えるという傾向は確実にありますが、個性の問題も大きい。
そもそも、年を取ればとるほど風邪をひきにくくなるは不思議だ。

《そうだったの?!》

50歳以上の人が風邪をひく回数は10代の若者のたった半分
免疫の機能は年齢とともにどんどん劣化していくので、免疫力と風邪のひきにくさはむしろ逆相関しているとさえ言える。

これは、もちろん長生きしたことで様々なウイルスに曝露して免疫を獲得したという面もあるのが、実際には免疫が弱くなっていて、ウイルスには濃厚感染しているけれども自覚症状が出にくくなってるだけかもしれない。

高齢になれば免疫がウイルス増殖を認識するのが手遅れになって、免疫が稼働しはじめたら一気に暴走して、死亡してしまうリスクも高くなっていく。

細胞性免疫では感染した自己細胞を殺すわだが、ウイルスが増えすぎて、たとえば極端な話、肺の全ての細胞が感染していたら、肺の全ての細胞を殺すことになり、呼吸できなくなる。
だからウイルスは増えすぎる前に制圧しなければ意味がない。

一方で、コロナに抑制されないタイプの自然免疫を持っている若者では、症状が出るよりも前にウイルスを駆逐してしまう人もいる。
同じ「無症状」でも、体内で起きていることは真逆。

免疫とはとても複雑な仕組みで、風邪というごく一般的な病気についてさえ、なぜ人によって症状が出たり出なかったりするのか、よくわかってないことが多い。
ワクチンも同様です。

《えっ!!!???風邪ですら!》

だから単純に若くて健康だからワクチンの副反応が出やすいとも言えないし、副反応がない人は免疫がつかないわけでもないし、実際、抗体はつくられていることが確認されている。

症状が出るかどうかは「目立つ」ので気になるが、生理学的に言えばインターフェロン性の免疫が稼働しているかどうかという違いに過ぎない。

そして免疫はインターフェロンだけではない。

Q:女性のほうが副反応が出やすいのはなぜでしょう?

A:女性のほうが副反応が強く出やすいのは、一般に女性のほうが免疫力が高いことによると考えられている。

Q:ワクチンって、体格の大きい人でも小さい人でも同じ量を投与するのはどうしてですか?風邪薬でも年齢によって用量が違ったりしますよね。

A:ワクチンの場合には、免疫を学習させるというメカニズムなので、免疫原性さえしっかりあればいい。
注射した部位で局所的に作用してくれればいいので、そもそもごく微量でいい。

実際、感染するシーンを考えても、空中を漂っているウイルスを吸い込む量は、あまり体格とは関係ないし、ウイルスというのは感染すれば約10時間おきに1,000倍、100万倍と驚くべき速度で増えていくものなので、薬剤の2倍とか3倍といったリニアなドーズの違いなどは誤差の範囲かも。

今回承認されたワクチンは、肥満体型であってもそうでなくても、標準用量で十分に良好な結果が得られること、そして体の小さい12~15歳の子供でも副反応が強く出るわけではないことが確認されている。

Q:最後のひと押しをいただけませんか?

《この話がおもしろい!》

A:行動経済学という分野でノーベル経済学賞をとったダニエル・カーネマン教授のプロスペクト理論。

①1万円を無条件に徴収される
②コインを投げて表が出れば2万円を徴収されるが、裏が出れば何も徴収されない

この選択肢を与えられれば、ほとんどの人は「2」を選択する。
数学ができる人であれば、1と2の期待値は同じマイナス1万円だとすぐにわかるはず。
でも、なぜかみんな2を選ぶ。
運が良ければ何も失わないほうのギャンブルに走る。

《選ぶ!選ぶ!絶対、②を選ぶ!!》

この選択肢2をちょっと変更して、「表が出れば3万円を徴収される」としたら、どうか。
期待値はマイナス1.5万円になるので、今度こそ正解は①になります。でも、②を選びたくなりませんか?

《選ぶーーーーっ!》

人間には、こうした強固な「損失回避」傾向があります。非合理なまでに、損を確定させることを嫌がるんです。反対に、1万円をもらえるという利益を得る場面では、ギャンブルを回避する「利益確定」傾向があることもわかっている。

ワクチン接種というのは、先ほどの2択で表現すれば、こういうことです。

①ワクチンを接種し、副反応に耐える
②コロナに感染すれば2%の確率で死ぬが、コロナに感染しなければ何も起きない

選択肢1は、まさに副反応という「損を確定」させる行為ですから、これを回避し、「私はコロナに感染しないほうに賭ける」という認知の歪みを生み出します。

新古典派経済学の時代には、人間は完全な情報を与えられれば正しい意思決定ができる合理的な存在であると考えられていたが、実際には全然そんなことはなかったという話。
その証拠に、資産運用で一番成績がよかったグループは「死人」だったという話もある。
頭で考えれば考えるほど損失回避や利益確定の罠にはまるので、株式市場では勝てなくなる。
何も考えずに意思決定を自動化したほうが最後に勝つ、という象徴的な逸話。

《耳が痛いーーーーーーっ!》

だから、たくさん情報を集めても、最後の最後で決断するときに迷うのは、普通のこと。
そのことを知っておくだけでも、自分がどういうトラップにはまっているのか気づきやすくなるかもしれない。

おわりに

とても勉強になった。
この記事を一通り読んで、「まあまあ安全そう」という感想を持った。
特に、最後の プロスペクト理論は、おもしろい!
「考え方」にも傾向があるようで、情報に惑わされすぎないようにしたいと思う。


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